第3章 わたし
緊張しながら最初に向かった先は水柱の元。
「稽古の前に、 は何故最初が俺の稽古なのか分かるか?」
義勇さんの瞳がを見据えた。
『私の予想で【水】が基礎的な呼吸なのが関係あるかと思ってますが、如何でしょうか?』
「うむ。大方は当たりだ」
『良かったです』
「それと、俺の前では他の柱と同じように畏まらなくてもいい…名前は好きなように呼んでくれ」
『…』
「どうした?」
今まで元気に返事をしていただが、急に返事がぴたりと止まった。
『ありがとうございます…まだ、私は皆さんに出会って間もないですが…伝えておきたい事が貴方にあります…』
は言葉を1回のみ込んだ。
そう。知っているのだ。
富岡の過去のことを。
『えっと、早速お言葉に甘えて、富岡さん!』
「…あぁ。」
『今はもしかしたら、心に響かないかもしれませんが、錆兎さんの思いをつなげれるのは義勇さんだけですから…!だから、それだけはどうか、頭の片隅に置いておいてほしいのです…!』
「なぜ錆兎を知っている?」
『それは後々…いきなりでしゃばったような事を言ってしまいすみません。せめて、私といる時ぐらいだけでも気持ちが楽になってほしいので、私の事も富岡さんの思うように名前を呼んでくれたら…できたらと、名前で呼んでくれたら…すごく嬉しいです…』
「それは努力する。錆兎の事は気になるが、時間が惜しいから早速稽古を始める」
『あ、はい!お願いします』
富岡は道場の中にある木刀を手にした。
「最初に聞いておくが、戦闘経験はあるのか?」
『実は私自身は戦闘経験無しだと思います。なので、もしかしたら戦闘ができない可能性も有るかもしれません。でも、今は何より強くなることを優先にしていこうと思ってます』
「そうなのか、分かった。初めてでも、どれぐらい力があるのか物は試しだ。俺を本気で殺す勢いで来てくれ…」
そういうと義勇は木刀をに手渡した。
は直ぐに姿勢を正し、刀を構えた。
『未知数ですが、何卒宜しくお願い致しますっ!』
は勢いよく挨拶を言い終えた勢いで木刀を義勇に向けて降った。
「っ!何だ、この力は…!」
『???』
木刀が勢いよく音を立てる。
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