第3章 私に出来ること
義勇がわずかに眉を動かし
「……ああ、頼む」
と促す。
「はい! 改めまして、と申します。実は私、少し人見知りなところがあって、冨岡さんに勝手に親近感を持っていたりします……! 好きな食べ物は炊きたてのご飯です。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします!」
勢いよくお辞儀をした私に、義勇は静かに告げた。
「ほう……。時透が言っていたことは本当のようだな」
「あ、もう無一郎くんからお聞きに……。
そうです、私は皆様の名前も顔も存じています。
驚かれるでしょうが、この世界で何が起きるのかも……。
ただ、その内容はあまりに残酷で、私自身、まだ整理が必要なんです」
義勇の青い瞳が、鋭く私を射抜いた。
「……それはどういう力だ? [#dn=1#]、お前は一体何者なんだ」
「はは……やっぱり信じがたいですよね。私自身、自分の能力の正体もわかっていない身ですから」
「……。無理に話せとは言わない。だが」
義勇が一歩踏み出し、空気がピリリと張り詰める。
「はっきり言わせてもらうが、俺は稽古で手抜きはしない。やるからには徹底的にやる。文句は受け付けない。それでもいいのか?」
その瞳の奥にある真剣さに、吸い込まれそうになる。
けれど、私は逃げずに姿勢を正した。
「はい! もし私が弱音を吐いたら、叩き直してください。真剣に頑張ります!」
「……その言葉、忘れるな。俺に二言はない」
「はい、承知しました!」
義勇がようやく名乗り、稽古の準備が整った。
私は風呂敷を道場の隅に置き、初めての「修行」へと足を踏み出した。
*