第3章 私に出来ること
そして、陽が高くなったお昼時。
「様、お館様の命により、柱の屋敷へご案内いたします。ご用意はよろしいでしょうか?」
「はい! 大丈夫です!」
隠の方に元気よく返事をして、身の回りのものを包んだ風呂敷を手に、私は部屋を飛び出した。
(いよいよ、始まるんだ……)
覚悟を決め、隠の人の後ろをついて行く。
しばらく歩くと、目の前に威厳のある立派な門構えが見えてきた。
「こちらです。ご案内はここまでとなりますので」
「ありがとうございます! 帰り道、気をつけてくださいね」
「お優しいお言葉、恐れ入ります!」
隠の人が去った後、私は一人、門の前に立った。
(画面越しに見るのと、本物を目の前にするのとでは全然感覚が違う……。この雰囲気、もしかして……)
深く息を吸い込み、屋敷の中に届くような声で挨拶をして、敷地内へと足を踏み入れた。
すると、待っていたかのように玄関の扉が開く。
「お館様から連絡は受けている。まずは道場へ入ってくれ」
そこに立っていたのは、予想通り、水柱・冨岡義勇だった。
「!……はいっ、よろしくお願いします!」
相変わらずの無表情。
けれど、どこか静謐な空気を持つ彼に、私は勝手な親近感を抱いていた。
(思っていた通りの性格だな……。でも、変に気負わなくて済むかも)
道場へと案内され、義勇が再び口を開いた。
「まずは、改めて紹介をしておこう」
「あっ……!」
「どうした?」
「すみません、自己紹介は私からさせてください」
*