第50章 悲鳴嶼さんの独占修行 ― 慈悲なき重厚な愛
「南無……これ以上の喧騒は、魂の穢れを招く。 殿、こちらへ」
悲鳴嶼さんは、騒ぐ柱たちをその圧倒的な威圧感だけで黙らせると、私を軽々と抱え上げ、山奥の隠れ滝へと連れ出した。
「誘惑から遠ざける」という名目の修行でしたが、二人きりになった途端、その空気は一変した。
「滝の音以外、何も聞こえぬ場所だ。……今、君の心に響くのは、私の声だけでいい」
数珠を置き、私の背後から丸太のような腕で私を閉じ込める悲鳴嶼さん。
その体躯から発せられる圧倒的な熱量と、慈愛に満ちた、けれど逃げ場のない重厚な言葉。
「……岩のように、君を一生離さないと言ったはずだ。君を乱す輩からは、この私が……力ずくで守り抜こう」
彼の大きな掌が、私の震える肩を優しく、けれど確実に圧するように包み込む。
最強の男の「独占欲」という名の重圧に、私は抗う術を失い、ただその大きな胸の中で翻弄されるのであった。
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