第3章 わたし
side.
今日は雲一つない、晴天。
朝から天気が良かったため、私は自分なりの誠意を見せるために屋敷の庭で、ランニングの許可をお館様へ頂いて、柱への挨拶の翌日からトレーニングを始めた。
(お館様はいつまでもここに居ていいなんておっしゃってたけど、流石にそこまで甘えるわけにはいかないよね?ちゃんと今後の宿の事も考えないとだなぁ…)
そう思っている内に息が切れてきて、気づけば1周目のランニングを達成していた。
広い面積を所有する産屋敷邸は1周だけでも普通の人間は走り終わるころには吐き気がするくらいしんどいと隠の方が教えてくれたのだ。
私は暫く屋敷の周りを歩いて、 まだ早朝ということもありついつい背伸びをした。
『ふぁ~…私ってホントに何者なんだろう』
私は頭の中で初めの事を思い出した。
(ここに来る前の記憶はあるんだよね…。
ただ、来る前と言っても、鬼滅の刃が漫画で、アニメ化して大ヒット。
そして、映画化までして凄く人気が出ている正に旬のアニメという事とキャラ達の事ぐらい…なんだよね)
産屋敷邸の庭で意識を失って倒れていた
↓
お館様から声掛けがあり、目が覚める
↓
なんだかんだで、産屋敷邸にて生活することを許される
↓
柱への自己紹介
↓
そして今
・・・大体、こんな感じ。
と、は頭の中で整理した。
好きな漫画やアニメの世界に来れて嬉しいけど…ここの世界は命がいくつあっても足りない気がすると自分の体内で寒気がした。
今のところ、柱の中で会話が出来たのは私の中では意外と思う時透無一郎だった。
しかも、時透本人から話しかけられて正直いろいろとビックリした。
時透無一郎というキャラクターは、何事に対しても無関心な性格であることを理解していた。
だから、私にとってもちょっと意外な展開だったなと思う。
(そういえば、記憶がないの?って聞かれたんだたよね…。
あの時は混乱しててついはぐらかしちゃったけど、次の機会にでも彼が納得できるような説明をできたら良いな…)
私はここを【漫画の世界】という考え方を捨てたほうが良いと判断し、これだけは口が裂けても言わないようにしたいと思った。
こんな一生懸命に生きてるのに【漫画の世界】だからとひとくくりにされるのは如何なものかと思うしね…
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