第7章 月と白日の元で
「あ、あなたたち、何してるの…?」
お母さん…?どうしよう、見られた。いや、これでこの行為は終わる。蛍はただ呆然と母を見つめていた。
慌てて蛍の下から抜け出し、部屋を飛び出す。大丈夫…これは禁忌ではない。ただ、心が伴わないだけ…両親に酷く怒られることはないはず。
「飛雄…ごめんなさい…」
布団を頭から被って、飛雄になんて言ったらいいか考えていた。言うべきか、言わないべきか…言うのなら、なんと伝えるべきか。スマホの画面を見つめながら、浮かせた指が震えていた。
少しの間そうしていると母に呼ばれて、重い足取りでリビングに向かう。リビングでは両親と蛍が重い空気を漂わせていた。
「あなたたちには、普通の兄妹になって欲しかったのに…仲の良い幼馴染だったから、きっと兄妹なったら嬉しいかなって思ってたんだけど…」
私たちのことを何も知らないまま…知ろうとしないまま、相談もしないで私たちを兄妹にしたのは、紛れもない、あなたたちでしょ。
初めから私たちは兄妹にはなれなかった。スマホを右手で握ったまま肩を竦める。飛雄に、会いたい…飛雄なら、ここでなんと言うだろう。蛍と身体を重ねることを止めてくれたあの人は、どんな言葉を紡ぐの?
隣に座る蛍の握った拳は震えていた。