第6章 惑わす影
「……帰んのか?」
シャワーを浴びさせてもらい、帰る準備をしていると、寂しそうな声をかけられた。
「……飛雄…泊まってってもいい?」
髪を整えていると、後ろからガバッと抱きつかれてバランスを崩す。「当たり前だ」と耳元で囁かれて、胸が高揚した。飛雄と一緒にいると、心臓、落ち着かないな…。
母にメッセージを入れると、服を全て剥ぎ取られて、そのまま持っていってしまった。洗濯してくれるそうだ。素っ裸でどうしろと…タオルケットを手繰り寄せて肩から被る。
戻ってきた飛雄は、「待ってろ」と言いながらクローゼットを開け、Tシャツを渡してくる。
「ありがとう……これだけ?」
「見るのは俺だけだ。別にいいだろ」
大人しく頷いて、一緒にご飯を作りに行く。飛雄の家族、お姉さんしか会ったことないな…ボーッと考えながら作っているとスマホが鳴り、慌ててテーブルに取りに行く。
画面を確認すると蛍で…出るか迷う。飛雄を見つめてから、画面を暗くした。キッチンに戻ると、「いいのか?」と聞かれたので、頷く。明日、何か言われるかもしれないが、今は考えたくなかった。