第5章 月影に背を向けて
「お〜う〜さ〜ま〜、なにしてんの。そういうこと、本当にやめてくんない?あ、ボールにも見境なくキスする"動物"だから、言っても通じないかぁ〜」
突然後ろに来て肩を抱いた蛍に顔を引き攣らせた。どういう煽り…本当にボールにキスしてるの?ジッと飛雄くんを見つめる。
飛雄くんは顔を真っ赤にして、「黙れ月島!」と叫んでいた。この反応…してるんだ。ボールが恋人?他人の性的嗜好をとやかく言うするつもりはないが…不衛生ではないか?
いきなり腕を引かれて飛雄くんの方に引き寄せられる。
「揺だと思ってしてただけだっ!」
耳元で叫ぶように言い訳をする飛雄くん。恐らく、周りの人たちにも聞こえていただろう。ぶわっ…と熱くなっていく頬を隠すように下を向いた。
飛雄くんそれ…蛍に見られたの?だったら、見事に煽りのネタされるに決まってる。なんだか可愛くて、気付けば背伸びをして、サラサラな黒髪を撫でていた。
「月島!揺に何もしてねぇだろうな!?」
「いきなりなに…バカじゃないんだから、人前でするはずないでしょ」
まず、人前で出来ない関係だからね…私が拒んでいるから、最近は本当に何もしていない。飛雄くんは蛍に悪態をつきながらも、髪を撫でている私の手に、目を細めていた。