第5章 月影に背を向けて
蛍に引き摺られてベッドに横になった私は、温かい腕の中で目を閉じた。だけど、背中を這った長い指に意識を戻される。反応を見せず目を瞑ったままでいるとホックが外され、指は前に移動してきた。
「ん…っ、んぅ…」
「もう大丈夫?気持ち悪くない?」
ブラを寄せて突起を捏ねる指に声が漏れる。蛍は胸を弄ったまま、心配している言葉をかけてきた。欲情するのか、心配するのか、どっちかにして欲しい…。
このまま流されてはダメだと腕を掴み、無理やり離れさせる。「揺?」と不思議そうにする琥珀の瞳を睨んだ。
「ごめん…疲れてるし、体調悪いからやだよね」
違う…先程言った言葉はなかったことにされているのだろうか。
「お願い、蛍……私は飛雄くんのことが…」
「やめて。揺は僕から離れられないでしょ。だったらもう、ちょっとそういう関係になった男なんか忘れなよ」
離れられないのは家族だから…兄妹だから。だから蛍が私の恋をどうこう言う資格はない。それなのに――眩しい程の存在感を放つ月から目を離せず、囚われ続ける。
影に伸ばした手は、いつも隣にいる蛍に絡め取られ、どこにも伸ばすことが出来ない。まるで――縁の糸が全て蛍に絡められて、どこにも繋がることがないように…。