第4章 還る月
「わっ!?け、蛍!?」
突然目の前にいた飛雄くんがいなくなり、大きな影が視界を通り抜けていった。蛍が飛雄くんを押し倒し、拳を振り翳している。すぐに「やめて!」と腕にしがみついた。
飛雄くんに馬乗りになった蛍をなんとか立たせて、田中さんや西谷さんの近くに行かせた。2人ならなんとかしてくれるだろう。
「……あの時、僕にあんなにされたのに、影山のところに行ってるの?」
「蛍…気付いてるんでしょ?私がいつから飛雄くんのことを見てるか……」
睨む蛍から逃げるように飛雄くんの元へ戻る。
「君は…君は何にもわかってない!ずっと…覚えてないくらい小さい頃から一緒にいるのに…!」
なんのことを言っているのかわからなかったが、飛雄くんに手を伸ばし、「怪我してない?」と声をかける。胸を突き刺すような痛みは、知らないフリをした。