第3章 影に落ちる
「ああもう!なんだよ!?どうせバレることだろ!?俺といることがそんな疚しいことなんかよ!?」
疚しい!?飛雄くんそんな言葉知って…じゃなくて、別に疚しいわけではない。そういうことはしたかもしれないけど…蛍とは違う。飛雄くんはちゃんと好きだと言ってくれて、私も好きだと言った。恋人ではないけれど、兄妹でもない。
飛びかかって来そうな飛雄くんの腕をなんとか掴み押さえる。燃えるようなその想いを真っ直ぐぶつけてくる。それよりも…少しくらい手加減して。力と体重には勝てず、後ろに倒れそうになった。
すぐに反応した飛雄くんはそのまま腕を引いて、その腕を掴んでいた私の身体は、飛雄くんの方に引き寄せられる。ぶつかると思った頃には離れた腕に優しく抱き締められていた。私も、燃えるような想い、持ってるよ。
「わり!怪我させるとこした」
「ううん、ありがとう。行こう、飛雄くん」
頷いた飛雄くんは私の手を引いて体育館から出ていく。蛍に呼ばれて振り返ろうとしたけど、飛雄くんがそれを許さなかった。
例え兄妹だとしても血は繋がっていないからどうとでも出来る。それでも蛍から離れなきゃと思うのは、気持ちがはっきりしていないから。飛雄くんへの気持ちははっきりしているから。
夏が近付いた空気が少しだけ肌を刺し、汗が滲み出る感覚がした。