第3章 影に落ちる
「揺、用あるから一緒に帰んぞ」
次の日の部活終了後、飛雄くんに呼ばれ返事をすると、蛍に止められた。
「揺、僕も用あるんだけど」
まじですか…長身男子に挟まれている。俺と、僕と、と言い争っている。蛍ってこんな言い争いするタイプだっけ…。
私を巡って争っている二人を見て唖然としてしまう。私、そんなキャラじゃない…取り合いされるタイプのモテる女ではない。モテる人はこういう時どうしてるの?
「お前、何するつもりだよ。やらせねぇよ」
まさか飛雄くんはあのことを言っているのか?蛍にバレたら大変なことになる。凍えるような蛍に向ける飛雄くんの視線を見て、喉を詰まらせる。
蛍は「なんのこと?」と飄々と返しているが、飛雄くんが気付いていることに気付いているようだった。
「おい、揺。お前、制服どうすんだよ。俺ん家に置いたまんまだろ」
「は、なに?昨日、谷地さんの家に泊まるって言ってたでしょ」
鞄の中に制服を入れておくと皺になるからと、飛雄くんの家に置かせてもらっている。それを何故、今言うのか…慌てて蛍に謝り、飛雄くんに「なんで言うの!」と声を荒らげた。