第2章 始まりの糸
影山くんが帰ると言うと、なんとかその場は収まったようで、胸を撫で下ろす。蛍はいつか、相手を煽り過ぎて殺されそう…。
陽だまりの彼に誰かと問われ答える。
「影山くんと…えっと……「日向翔陽!」日向くん、ごめんね。これからよろしくね」
日向くんを見てから影山くんを見たが、目が合うことはなかった。真っ直ぐ、蛍を睨むように見ている。
蛍に「早く」と催促され慌てて追いかけると、後ろから「翔陽でいい」と聞こえたので、そう呼ぶことにした。本当にお日様みたいな人…。
肩に掛けられた蛍の学ランを掴みながら、帰路を辿る。私にはいつも優しい蛍。なのにどうして、みんなには優しく出来ないの?
「揺、今日…お風呂上がったら、僕の部屋来て」
忠と別れた後、そう告げられる。何をされるかはすぐにわかった。みんなが寝静まった後……頷いて隣を歩く。結局、私たちは兄妹になっても、2人の間の関係は変わらなかった。
影のように静かで冷たい仮面を被りながらも、内側に情熱を燻らせる初恋に出会った、寒い春の夜のことだった。