第2章 始まりの糸
「君らにとっては重要な試合なのかもしんないけど、こっちにとっては別にって感じなんだよね。」
何言ってんの…蛍はボールをポンポンと上げながら2人と話している。私も何か話してみたかったが、私が入る余地等なかった。
寒さも忘れ、私はただ影山くんを盗み見ていた。
「君らが勝たないと困るなら――手、抜いてあげよっか?」
蛍の言葉すらも耳には届かず、私の全身は影山くんだけを感じている。胸が苦しい…マネージャーになるなら、私はずっとこの苦しさと共に生きなきゃいけないのか。
「てめぇが手抜こうが全力出そうが、俺が勝つのに変わりねぇんだよ」
影山くんの顔は形容し難い、すごい顔になっていた。怒っているというか、燃えているようだった。その姿すらもかっこいいと思ってしまう。
「あっはは!すごい自信。さすが王様。」
蛍が王様と呼んだ瞬間、雰囲気が変わった。怒る影山くんに対して蛍は煽り続ける。去年の県予選の決勝で色々あったようだ。
よく知らない。よく知らないけど、影山くんはすごく怒っている。ピリピリとした空気が漂っていた。
「蛍っ!!」
影山くんが蛍の胸倉を掴んだ瞬間、私は蛍を咎めるように名前を呼んだ。