第2章 始まりの糸
中学の卒業式。目や鼻を赤く染めながら蛍の家に向かい、2人で歩いていた。道路の脇には、白く残る雪が春を拒んでいる。まだ凍てつく空気に二つの白い息が溶けた。
しんしんと粉雪が舞い落ちてくる。触れればすぐに解けて形を失くした。私たちの"幼馴染"というカタチはすでに崩れかけている。しかしそれはこの後、完全に解けて…崩れて、失くなる。
私よりも少し冷たい蛍の大きな手が、解けた雪ごと包んだ。このままどこにも行きたくないと、歩幅はどんどん狭くなっていく。この時、後に知らされることを知らないのに、私たちはどこにも行きたくなかった。
「……揺も、烏野行くんだよね…マネージャー、しない?大変だと思うけど、揺なら出来るんじゃない?」
未来の話。ほんの少し先の未来。きっと、この先も当たり前に、隣には蛍がいるのだろう。その時、私たちの関係はどうなっているのだろうか。
「うん、やってみようかな…」
別れの季節。それは出会いの季節でもあった。別々の高校へと通う友人に別れを告げ、私は蛍と共に新たな縁を結ぶ。烏野高校で__。