第1章 この呪いをかけたのは、彼の実の妹だった。
これ以上、キャロルが彼女にしてあげれる事は無かった。
久しぶりにキャロルが家に戻ると、急に兄に胸ぐらを掴まれた。
兄は鬼気迫る表情をしていた。
「アレは何処だ?もしかして、自警団に言ったんじゃねぇよな!?」
彼女をあそこまで追い詰めた犯人は、目の前に居た。
キャロルは何も言えなかった。
一緒に育ってきた実の兄が、人を傷つけたのだ。
ただ、コイツは裁かれなくてはいけない。
例え血の繋がった家族でも。
周りの人間から、白い目で見られても。
許されない事をしたのだから。
キャロルはすぐに、自警団へ報告した。
キャロルの兄は捕まり、牢屋の中に入れられた。
キャロルとキャロルの父は、肩身の狭い生活を余儀なくされた。
キャロルは兄の代わりに、被害者の家族に謝った。
相手は許してくれなかった。
当たり前だ。
家族をあんな酷い目に遭わされたのだ。
二度目の謝罪に行った際、キャロルは被害者の父親に「もう来ないでくれ。君達の存在が許せないんだ」と言われたそうだよ。
キャロルには、どうしようもなかった。
キャロルができる事が、何もなくなってしまった。