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俺の名は

第7章 2つの影


屈したくない、言葉にしたら負けてしまう――

そう思えば思うほど、身体の方が裏切るように熱を帯びていく。

呪霊はそんな矛盾を味わい尽くすように、さらに焦らしを強めた。

爪先で撫でるような軽い接触。

掠めるだけで、絶対に深く触れない。

じらすような間を挟み、女が焦燥に駆られて声をもらす瞬間を狙う。

呪「ほら、もう限界だろ……? でも、まだだ。まだ与えない。」

わざと時間をかけて、ひとつひとつの仕草を遅らせる。

触れる瞬間を期待させ、裏切り続ける。

その繰り返しに女の呼吸は乱れ、瞳は潤み壁に縋るように身体を揺らしてしまう。

「……や、……お願い……。」

ついに漏れたその言葉に、呪霊は満足げに口角を吊り上げる。

呪「ようやく素直になったな。だが……まだ充分じゃない。」

望みを口にしても、すぐには与えない。

さらに焦らしを重ね、求める声を引き出そうとする。

ほんのわずか触れては離し、深く与えることは決してしない。

その残酷なまでの緩急に、女の理性は少しずつ削られていく。

呪「もっとだ。もっと欲しいって言え。俺に全部、差し出せ。」

女は羞恥に顔を伏せるが、拒めない。

呪霊はその顔を持ち上げ、無理やり目を合わせた。

涙に濡れた瞳を覗き込み愉悦に満ちた声で囁く。

呪「俺が欲しいか? 全部、俺に壊されたいか?」

女は震えながらも逃げられず、小さく頷いてしまう。

その瞬間、呪霊はようやくわずかな解放を与えた。

だがそれも一瞬だけ。

本格的に与える前に、また引いてしまう。

呪「まだ終わらない。……お前が完全に俺のものになるまで、焦らしてやる。」

その言葉通り路地裏の闇の中で、女は果てしなく長い焦らしに囚われていく。

抗えない感覚に翻弄され与えられそうで与えられない残酷な愉悦の中で、じわじわと理性を削られていった。

呪霊は女が崩れ落ちる瞬間を待ちながら永遠に続くかと思えるほどの焦らしを繰り返し、愉快そうに笑い声を漏らした。
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