第6章 ほどける心
それを聞いた呪霊は、ゆっくりと女の顎を持ち上げ無理やり目を合わせた。
呪「我慢しなくて良い。お前が必死に耐えても……結局は全部、俺のものになる。」
壁に押しつけられた手首は逃げられず脚は力を抜かされ、抵抗はどんどん形骸化していく。
呪霊はそんな様を楽しむように時に優しく撫でるふりをし、次の瞬間には荒々しく攻め立てる。
緩急のある意地悪な手つきに、女は混乱と羞恥を煽られていく。
「……やめ、……っ。」
弱々しい抗いの声を、呪霊は鼻先で笑い飛ばした。
呪「やめる? 本当にそう思ってるのか……それとも、口だけか?」
わざと問い詰めるように唇を掠め、甘くも冷たい囁きを重ねる。
女の身体は震えながらも、拒絶と同時に別の反応を示してしまう。
それを見逃さず、呪霊は爛れた愉悦を滲ませる。
呪「ほら、素直だな……身体はちゃんと答えてる。」
弄ぶ指先は決して一気に解放することなく、じわじわと境界を攻める。
触れたいところには決して触れず、わざと外す。
焦らしと苛めを繰り返し、女が声を堪えられなくなる瞬間を待ち構えている。
呪「もっとだ。もっと見せろ……お前がどんなふうに壊れていくか、全部楽しませろ。」
壁際に追い込まれた女は逃げ場のない狭い空間で、呪霊の意地悪な愛撫に翻弄され続ける。
冷たい石壁と異様な熱に挟まれ羞恥と恐怖、そして抗えない感覚の奔流に溺れていく。
呪霊はその様を存分に楽しむように獲物が音を立てて崩れていく過程をじっくり観察し時に笑い、時に耳元に噛みつくような囁きを残す。
その全てが女をさらに追い詰め、逃げられない現実を突きつけていた。
やがて、震える声と熱に濡れた吐息が路地裏に散っていく。
その1つ1つを呪霊は舌で味わうように受け止め、さらに深く追い込んでいく。
呪「良いぞ……もっと俺を楽しませろ。」
路地裏の暗闇はますます濃く、2人を包み込んで誰にも見えない深淵へと沈めていった。