第5章 心に宿る、君の声
悟「なぁ、そんな顔すんなって。俺、別に優しくするって約束してねぇだろ?」
悟の口元には、軽薄とも取れる笑みが浮かんでいる。
その目は余裕たっぷりで、澪が必死に視線を逸らそうとするほど、わざと覗き込むように顔を近づけてくる。
悟「お前…ほんっと分かりやすいな。」
頬に触れる指先はやけに軽く、けれど顎を取った途端、逃げ場を奪うほどの力がこもる。
ヘラヘラと笑みを浮かべながら、悟はゆっくり唇を重ねてきた。
深くも浅くもなく、ただじらすように舌先だけを触れさせて、すぐに離す。
悟「ん? もう物足りねぇ顔してるじゃん。」
低く囁かれ、胸の奥がざわつく。
そのまま彼の指が鎖骨をなぞりカーテンの隙間から差し込む光に、肌の震えを浮かび上がらせる。
悟「こんなとこまで赤くして…なぁ、否定してみろよ。」
挑発するような口調に、澪は思わず唇を噛む。
だが悟は、それすらも面白そうに見下ろす。
悟「無駄だって。…俺から逃げられるわけねぇんだから。」
そう言うと彼は縛った手首を軽く持ち上げ、わざと視界に入る位置で揺らす。
悟「ほら、見ろよ。これ、お前のせいだぞ。嘘つくから。」
にやにやと笑いながら、そのまま膝で澪の足を押し広げていく。
一気に心拍が早まり反射的に脚を閉じようとするも、悟の力は容赦なくそれを阻む。
悟「おっと…そういうとこ、可愛いな。」
声は軽いが視線だけが鋭く光っていて、抗う気力を削ぎ落としていく。
悟「…どうする? このまま、全部見せてもらうか。」
唇が耳たぶに触れるたび、くすぐったさと恐怖が入り混じった感覚が押し寄せる。
悟はわざと吐息を長く落とし、彼女の反応を探るように微笑む。
悟「声、出すなよ? …いや、出した方が楽か?」
ふざけ半分、本気半分の口調に翻弄されるまま、澪の息は荒くなっていく。