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俺の名は

第4章 本物の熱


距離はほとんどなく、呼吸が触れ合うほどだった。

澪は震えるまつ毛を伏せながらも、それ以上の力で抗えないことを悟っていた。

悟の目は怒りと疑念と、そして別の熱で濁っていた。

その視線から逃れる術は、この狭い空間にはなかった。



悟はじっと澪の瞳を見つめていた。

その視線は鋭く、嘘を見破る獣のように容赦がない。

悟「嘘だな。」

低く呟くと、彼の指先が澪の顎を掴んでゆっくりと顔を持ち上げる。

悟「目が泳いでいる。嘘をついているのは隠せない。」

澪は呼吸を荒くし、必死にその視線から逃れようとした。

「違う……本当なの……。」

しかし言葉の端に震えが混じり、説得力はなかった。

悟の唇がそのまま彼女の口元へ迫る。

悟「嘘つき。」

そう囁くと唇が唇を軽く噛み締め、甘く重く絡みついてくる。

その接触に、澪の体が震え胸が熱く疼いた。

嘘をついた罪悪感と彼の迫りくる熱情が交錯し、理性は崩れ始める。

悟の手が彼女の髪を優しく掴み、頭を後ろにそっと反らせる。

その間にも唇は巧みに動き、舌先が彼女の口内を探るように這い回った。

息遣いが乱れ、彼女の体が小さく反応する。

悟はそんな反応に満足そうに微笑み、ゆっくりと手を伸ばして彼女の胸元へ滑らせる。

指先が敏感な肌を撫で、彼女の鼓動を掴み取る。

悟「嘘をつくな。お前は俺のものだろ。」

冷たくも熱い囁きが彼女の耳元を這い、全身を焦がす。

澪は言葉を失い、ただ彼の熱に身を任せた。

その瞬間、彼女の中にあった恐れも、不安も、すべてが溶けていくようだった。

悟はゆっくりとベッドに彼女を倒し込み、体を重ねた。

肌と肌が触れ合い、熱がぶつかり合う。

悟「嘘なんか、いらない。」

その言葉は優しくも厳しく、彼女の心に刻み込まれた。
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