第4章 本物の熱
目が覚めたら甚爾の体になっていたこと、自分の体には甚爾が入っていること、そしてこの状態がいつまで続くかわからないこと――。
話し終えると、澪はしばらく沈黙したまま悟を見つめていた。
その視線は探るようで、しかし完全には信じていない。
「……本当に悟なの?」
その問いは静かだが重い。
悟は少しだけ笑みを作った。
悟「信じられないのは分かってる。でも、俺にしか知らないこと……言ってやろうか?」
彼は彼女と過ごした日々の、誰にも話していないような小さな出来事を口にした。
澪の瞳がわずかに揺れる。
しかし、その揺れはすぐに警戒へと戻った。
「……でも、顔も声も全部違うよ。それで“悟”って信じろって……。」
その時、背後から軽い足音が近づき、甚爾――
悟の体をした男が現れた。
甚「おー、見つけた。」
何事もないかのような笑みを浮かべ、澪の隣に立つと、ひょいと彼女の肩に手を置く。