第1章 疑惑の寝言 ※
「…んんっ!」
酸欠で目覚めた鈴は、ぼんやりした頭でその原因を探す。
目の前には愛しい恋人の姿。
「あ、恵。おかえり」
会いたかった。2週間も会えなかったから。
起き上がって彼の首に両手を回して抱きしめようとした。
大好きな匂い。いっぱい、いっぱい補充したい。
なのに彼は少し雑に鈴をそのままベッドに押し倒した。
「恵?」
あの寝言を聞く前なら、ただ再会が嬉しいだけだった。
だけど今はそれどころじゃない。
「どんな夢見てた?」
「夢…?」
唐突に聞かれて、鈴は一旦考える。あ、と思い当たる節があった。けれど口にするのは恥ずかしい。
「…わ、忘れちゃった」
鈴は嘘が下手だ。昔から。
「そうかよ…!」
伏黒は鈴のパジャマの中に手を入れた。ナイトブラをはぐって、やわやわと胸を触る。
「やっ!どうしたの?」
「別に」
なんか怒ってるみたい。
ちょっと待ってと慌てる鈴の抵抗虚しく、乱暴にパジャマを脱がす。首筋に噛みつくようにキスされて、オオカミみたいと少しだけ思った。
「…あっ、あん!」
いつもの彼とは全然違って、涙目で訴えても鈴の制止を聞き入れてはくれなかった。
知り尽くした弱い所ばかりを攻め立てられる。
隣の部屋の野薔薇に聞こえないようにと思って、抑えようとしても快楽の渦にのまれて声がこぼれる。
鈴のナカはゴム越しでもわかるぐらいトロトロで、繋がって尚、それでも足りないと強く抱きしめる。
鈴は自分だけのものだ。今までも、これからも。
五条だろうが絶対に誰にも渡さない。
「…鈴が好きだ」
「私も、恵が大好き」
欲にまみれた自分さえ許してくれる。彼女の中に欲望を吐き出して、ようやく伏黒は冷静になれた。