第1章 疑惑の寝言 ※
「…ごめん」
「任務で何かあったの?」
薄明るくなった室内で、心配そうに自分を見つめる鈴に罪悪感が増す。恋人同士という関係にあぐらをかいて、乱暴に行為を行った後だというのに。
「そうじゃないんだ。…鈴の寝言が気に障って。覚えていないならいいんだ」
彼女が浮気なんかしていないことは明白だった。元々嘘をつけるタイプじゃないし、こっちが返事を返せなくても毎日連絡を寄越してくれたのに。
よくわからないけど、落ち込んでしまった伏黒のこめかみにキスをする。
かっこよくて、愛おしくて、かわいくて、私の大切な人。
「恵が大好き」
もし、夢が現実になったら教えよう。
密かに鈴はそう誓った。