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黒の王と白の剣 幻想水滸伝Ⅱ 夢

第3章 狂皇子との出会い ー血の契約 (ルカ視点)


死体の山。
都市同盟の兵たちの亡骸が、まるで意図的に積まれていた。
剣を握ったままの者、首を落とされた者。
血は乾き、地面は暗く染まっている。

その傍らに、粗末な墓標が並んでいた。
十数の墓。その中央には、一際大きな墓。
そして、その前に――ひとりの女。

焼け焦げた衣。血と灰にまみれ、膝をつく。
それでも、その背筋は真っすぐだった。

「……人がいる。」
クルガンの声。
ルカは目を細め、女を見据えた。

次の瞬間、女が地を蹴った。
剣を掴み、風を裂いて迫る。
銀の閃光が走り、ルカの頬を掠めた。

――速い。

頬に赤い線。
冷たい血が風に冷やされる。
ルカの口元が、わずかに動いた。

(……悪くない。)

反撃の一撃で、女の体が宙を舞い、死体の山に叩きつけられる。
それでも立ち上がる。
腕が裂けても、呼吸が乱れても、剣を構え続ける。

(まだ立つか。)

怒りでも哀れみでもない。
その執念に、ルカは“生”を見た。
壊れた獣のように、それでも生を噛みしめる姿を。

「かかれ!」
ソロン・ジーの声が響く。

兵が突撃し、刃が交わる。
火花が散り、女が鎧の隙を突いて兵を斬る。
血が地を濡らし、彼女の瞳が炎のように揺れた。

「退け。俺がやる。」

ルカの声が落ちる。
兵が道を開け、女が最後の力で踏み込む。
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