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黒の王と白の剣 幻想水滸伝Ⅱ 夢

第15章 幕間 月に注ぐ淡い光


途中、微かな痛みの波が顔を掠める。
すぐに温石が替わり、毛布が少し深く重ねられた。
彼の外套がその上からふわりと覆う。

「冷える。」

「……ありがとうございます。」

匙の底が見えたころ、彼女の頬にうっすら色が戻っていた。
椀を置く音が、やけに静かに響く。

「明日も鍛錬は休め。命令だ。」

「……はい。」

「明後日も、様子を見る。出るなら俺に報告してからだ。」

わずかに目を見開き、すぐ低く笑う。
「……過保護です。」

「知っている。」

即答。
アルネリアは小さく肩を震わせ、そのまま枕へ頬を寄せた。

【Ⅱ】Ⅶ. 夜の見張り

夜。火は丸く、部屋はあたたかい。
ルカは寝台の端に腰掛け、目を閉じるでもなく、開くでもなく、彼女の呼吸を数える。
扉の外で、侍医の足音が控えめに離れていった。

アルネリアの指が、毛布の端をゆるく摘まみ、そのまま力を抜いた。

しばしして――
彼女が薄く目を開ける。

「……ルカ様」

「なんだ」

「横に、ならないのですか」

「お前の体に響くだろう」

「構いません。……私が、そばに居て欲しいのです。」

そこで言葉が途切れる。
代わりに、指が額の髪を払った。
短い沈黙は、十分な返事になる。

そして、布団へとはいる。
彼女の体に響かないよう、そっと。
冷えてきた温石を避け、代わりに手を添える。
その心地良さに、アルネリアはルカの方をじっと見つめ、薄く笑う。
小さく、軽く。
唇が合う。
そのまま、彼女は眠りについた。




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