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黒の王と白の剣 幻想水滸伝Ⅱ 夢

第2章 狂皇子との出会い — 血の契約


アルネリアは震える指で自らの指先を切り、ルカの血と混ぜ合わせる。指先が触れる瞬間、冷たいものが皮膚を這い、胸の奥で何かが跳ねた。痛みでも快楽でもない――契りが身体の奥に刻まれた瞬間だった。

「……承知しました。陛下。」

ルカの瞳が満足げに細まる。
「いい目だ。そのまま燃え尽きるなよ。」

彼は鎖を外す。重い鉄の枷が床に落ち、乾いた音を立てる。自由になった腕に血が滲み、その温かさが現実を取り戻させた。

「今日からお前は、俺の剣だ。」

アルネリアはゆっくりと膝をつき、頭を垂れた。言葉は短く、しかし内側では炎が揺れている。ルカは背を向け、青いマントを翻して部屋を去るように立ち去る。

「休め。すぐに使う時が来る。」

扉が閉まり、静寂が戻る。彼女は枷の痕を指先でなぞり、目を閉じた。父の面影、燃え残る村の匂い、母の裏切りの声——それらは全部、今ここで「使う」ための燃料になった。

――父様、私は生きます。
 この命が燃え尽きるその時まで、剣として。

胸に灯った炎は、憎しみと誓いによりさらに赤くなる。まだ知る由もないが、その炎はいつか、ルカ・ブライトという名の闇を照らす光となるかもしれない——それは、歓喜か破滅か、あるいはその両方であるだろう。
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