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黒の王と白の剣 幻想水滸伝Ⅱ 夢

第27章 追加if 戦いの後 墓前にて


「ねえ、シード。
 覚えていますか。花の話。私の名前の話。
 “アルメリアは確かに可愛らしい花だけど、アルネリアはそれ以上に可愛く、美しく育ってくれる”って……父が言いました」

石の文字を指でなぞる。
指先に、彫りの浅い影が触れる。
私の名を呼んだ声が、胸の内側でやわらかく響く。

「……私、育ちます。可愛く、美しく、強く。
 ですから、見ていてください。遠くでも、どこからでも」

風が、うなずいた気がした。
花房が一つ、ふわりと揺れる。
私は息を整え、囁くように続けた。

「“生きて、ください”って、あの夜、言いました。
 あれは、貴方に向けた祈りであり、私自身への命令でもありました。
 だから――私、生きます。泣いて、怒って、それでも立ち上がって。
 貴方が見たかった世界を、私の目で見ます」

手を合わせる。
沈黙は、寒くない。
ここには、私の“しまっておく気持ち”が、ちゃんと居場所を持っている。

「……それから」

ほんの少しだけ、顔を上げる。
喉の奥の震えがやわらぎ、言葉になる。

「帰ってきた時は、その時は、私から。――そう、言いましたね。
 約束はできない、と貴方は仰いました。分かっています。
 それでも、私は言います。
 ……帰ってきたときには、私から。何度でも」
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