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黒の王と白の剣 幻想水滸伝Ⅱ 夢

第26章 追加if 手紙


戦が終わって、三日が経った。

皇都ルルノイエはようやく静けさを取り戻しつつある。
焼け落ちた門も崩れた塔も、まだそのままだけれど、それでも人々は少しずつ歩き出している。
長く続いた血と憎しみの季節は、確かに終わったのだ。

――その代償として、あまりにも多くのものを失って。

王室へと続く大理石の回廊の前。
あの場所で、彼は散った。
背を守り、道を塞ぎ、命を賭して、最後まで剣を振るって。

彼は――帰ってこなかった。

彼の遺品がまとめられた部屋で、アルネリアはひとり、机の引き出しを開けていた。
整えられた装備、戦場から戻ることのなかった剣、破れた地図、血の染みついた手袋。
一つひとつを確かめながら、震える指で木箱の底に手を伸ばすと、そこに封筒があった。

「もし俺が戻れなかったら」
そんな言葉が、彼の筆跡で表に書かれている。

足が震えた。息が詰まった。
それでも、開けなければならない。
指先で封を切り、ゆっくりと紙を広げる。



アルネリアへ

これをお前が読んでいるということは、俺はもう隣にはいないんだろうな。
まったく、手紙なんて柄じゃないけど……これだけは、どうしても伝えておきたかった。

まず、謝らせてくれ。
約束を果たせなかったこと。
「必ず帰ってきてください」というお前の願いに、応えられなかったこと。

……本当に、すまない。
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