第3章 南波くんの重たい愛
パタン…。
ホテルの一室に入り、静かに扉が閉まる音がする。
私と南波くん。
二人だけの空間になる。
「古村」
突然名前を呼ばれて、びくりと体が反応する。
「な、なんでしょう。」
色々追いついていない私は、返事をするにも声が裏返った。
「なんで、先輩と飲んどったんや。」
やっぱり聞いてくるよね。
嘘をついても見破られそうだと思った私は正直に話した。
「…誘われたの。飲みに。」
「近づかないのはどうしたん。」
「腹割って話せる仲になれたら、仕事もスムーズになるって感じのこと言われたから、納得してついて行った。」
それを聞くと、彼は大きなため息をついた。