第4章 モテ期襲来
冷静になって考えてみれば、先輩との飲みの場で自分に想いを寄せる異性が現れて連れ去るなんて、どうゆう流れにせよ無事付き合えました。というエンディングを迎えそうなものだと私も思う。
でも、ついこないだまで飲み友達として、良き仕事仲間としてしか見てこなかった相手に対して、身体を重ねただけで好きになるほどのきっかけにはならなかった。
先輩には可愛いって言われただけで、落ちたのに。
この違いは何なのかとずっと考えている。
「なんだよ。じゃあ、俺にもまだチャンスあるってことじゃん。」
…え。
先輩の呟いた声に思わず反応してしまう。
「先輩って、私のこと揶揄ってるんじゃないんですか?」
自分の中で先輩が本気で私を口説くはずがないと言い聞かせていたが、流石に先程の発言には言及せざるを得なかった。