第5章 男が手料理で悪いか
何やらパァッと明るくなった燐
(兄さん…。 同じ料理仲間が出来て嬉しいんだね…)
「どうしたんだ雪男? なんか涙出てんぞ? 目にゴミでも入ったか?」
『…何かに感動してるように見えるが…』
(ルナ君鋭い…!!?;)
じろりっと見てくるルナに雪男は一歩後ろに下がった
「んじゃあ手始めにクッキー作るか!!」
「待って兄さん」
「ん? どうしたんだ?」
「まずはルナ君の爪でも切ろうか」
「…あぁ」
『爪長いといけないのか?』
「作業しずらいでしょ?」
『確かに… (だからあの時もやりずらかったのか…)』
自分の長い爪をジッと見るルナ
「じゃあ動かないでね?」
『あぁ』
爪切りを持ってきた雪男はルナの手を掴み、もう片方の手で爪を切り始めた
ぱちんっ、ぱちんっ、と爪を切る音が部屋に響く
「「…」」
(なんだこの静けさは…?)
指の爪を切られながら退屈そうにするルナ
(…何で僕は…、ルナ君相手にドキドキしているんだ!!?)
ぱちんっ、ぱちんっとルナの爪を切りながら雪男は心の中で叫ぶ