第5章 男が手料理で悪いか
「ルナ君は色んな人達にあっちこっちたらい回しにされて、酷く心が傷ついてしまっているって…」
(…あいつ、そんな事言ったのか…)
「それを聞いた時は僕とっても君の事を心配したんだよ」
『…分からない』
「え?」
『見ず知らずの俺を心配するお前が分からない』
何故?と答えを追求するルナに雪男はまた笑った
「理由なんてないよ?」
『…ない?』
「そう。 心配は心配なだけ、それ以上な事はないよ」
そう言って笑いながら雪男はルナの頭を撫でた
(…人の手というものは、どうしてこんなにも温かくて気持ち良いのだろうか…)
「じゃあ行こうか! 兄さんも待ってるだろうし」
『…兄さん? 待ってる?』
「あれ? ルナ君は兄さんと一緒に料理したかったんじゃないの?」
『え? 奥村センセイって呼ばれてたから俺はお前がかと…』
「あぁ、ルナ君は勘違いしちゃったんだね? 僕は君の迎えに来ただけなんだ、さぁ行こう?」
『…分かった』
ーー…。
「おぉ雪男! 迎えだけで結構時間がかかったな!!?」
ボロい旧男子寮という場所の部屋にたどり着いた