第1章 【月と恋は満ちれば欠ける】
「どうぞ」
淹れたての紅茶を、それぞれの前にお出しする。
ミントの香りがするそれは、最近市場で買ったお気に入りのフレーバーだ。甘さが控えめなので、甘いものが苦手なお父さんや大人なマスタングさんの口にも合うだろう。エドワードさんと鎧さん……アルフォンスさんはどうかな。もし苦手でも、お茶請けには紅茶とのバランスを取るためにとびきり甘いクッキーを用意したのでそれで我慢して欲しい。
「すまないね、ミシェル。ニーナを頼めるかな」
「うん、わかった。ニーナ、お姉ちゃんとアレキサンダーとお庭で遊ぼっか」
ニーナの手を引いてリビングを出る。
……なんのお話をするんだろう。
マスタングさんがいるってことは、軍のお仕事関係?でもエドワードさんはとてもじゃないけど軍人さんには見えない。アルフォンスさんの付き添いかな。でもアルフォンスさんはエドワードさんの弟って言ってたし……。
ーーー気になる。
けれど軍の機密に関することだったら取り返しがつかないので、諦めて庭へ出た。
書庫、使うかなぁ。まだ片付けの途中なんだよな…。
片付けの途中って、片付ける前よりも汚く見えるから嫌だ。
……使わないといいな。