第1章 まさかの出会い
目を開いたのは勿論コンビニの駐車場ではない。
雲の上でも閻魔大王の前でもない。
どちらかというと……
「……え、ここ、修学旅行できた気が……」
どこぞの映画村のような時代劇のセットの街並み。
やばい、ついに私の頭がおかしくなった。
車ではねられて映画村まで飛ばされた?いやいやまさか。
わたしはその場から立ち上がり、歩いていく。
「えーと...」
人通りのある道へと来たものの、観光客っぽい人達は何故かいない。というより、住人のように着物や着流しを来た人達が生活をしている、という雰囲気に飲み込まれる。
ど、どういうこと……?
というか……所々人間ではない『なにか』が違和感なく歩いているのも妙な光景である。
なんだろう、着ぐるみ……にしてはみんなが普通すぎる。
「き、きっと……なにかの夢、だよね。ほら、意識不明の重体とかになって三途の川をわたろうとしてるだけ、とか……」
誰とも話していないです。ひとりごとです。
そのくらい信じられない光景が目の前に拡がっている。
しかも、わたしが歩いていると揃って周りの人達はヒソヒソ噂話をしているように見える。