第4章 懐郷病

身体の中で何かが温かくなる気がした。


涙を流しながら銀さんを見つめると「ひでー顔」とニヤニヤしながら親指で涙を拭ってくれる。ひとつひとつの行動に胸の高鳴りが止まらない。


「あ、ありがとう……銀さん」

「おう」


しばらくして泣き止んだ私は、ふと、今の状況に気付かされる。


「っ、あ、ごめんなさい……」

大の大人が抱きつきながら声を出して泣いてしまった。


うう、恥ずかしい。


ぶわっと今更ながら顔に熱が集中するのを感じた。


「ん？いーのいーの。いつでも銀さんの胸かしてやんよ」

ニッと歯を出して笑いながらふざけて腕を広げてくる銀さんを見て、わたしはふふっと笑う。


「…やっと笑ったな。」


「へ？」


「お前、笑ってる顔の方が泣いてる顔よりも何倍もいいぜ。……ま、泣いてる顔もそそられるけど。」

「も、もうっ」


恥ずかしくなり、おもわず万事屋の中に戻った私。


だけど、先程までとは違い、今日もまた、よく眠れそうな気がした。