第3章 似た者同士
薄めの桃色の生地の着物には所々に花の刺繍が施されていた。
「良く似合うじゃないか」
お登勢さんは私の着物姿を見てふっと笑みを浮かべた。
「あとは自分で練習することだね。何回かやればできるだろうよ」
「はい、ありがとうございました。あの...…」
わたしは財布から札を取り出す。
「これ、今回のお礼と家賃、です……少ないですけど。」
すると、お登勢さんはギョッとして私を見たあと声を出して笑いだした。
「アンタ、面白いねぇ……いいよ、アンタの着物姿に免じて今回はなにも取らないことにするよ」
「へ…?」
でも、と引き下がらない私に対して、お登勢さんはお金を私に押し返し、
「そうさな……今度着物来たあとウチの店に来な。着付けの採点してやるよ。それで100点とってみな。それでチャラだ。」
それでいいね?と一言付け加える。
「わ、わかりました……」
ほんとうに、優しい人ばかりだ。
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「わぁ!可愛いアル!!!」
部屋から出てきた私に神楽ちゃんは目をキラキラさせながら近寄ってくる。
「そ、そうかな…?」
「うん!!これで外でたら男はみんなメロメロネ!」
そんなことは無いと思うんだけどな……と思い、銀さんの方を見ると。
「……ま、さっきの服よりはマシなんじゃねーの?」
「銀さん、鼻の下。」
ピシャリと放った新八くんのツッコミで銀さんは口元を隠すかのようにそっぽを向く。