第1章 壱 紅い月
よくある話だ。
高校生活も終盤に差し掛かったある日。親友がいじめのターゲットになった。
弱い私は自分がターゲットになることを恐れ、受験勉強に打ち込んでいるふりをして、表立っては関係のないふりをした。裏でメールのやり取りをしてやるくらいしかできなかったのに、彼女はいつも「ごめんね、ありがとう」と繰り返した。
ある日彼女にメールで呼び出された。きっと大したことではないだろうと塾を優先して、行くのが遅くなってしまって。そうして私が踏切の前にたどり着いた時、彼女は既に線路の上にいた。
私の伸ばした手は届かなかった。
それから罪悪感に縛られ、空虚な毎日を死ぬこともできずにのうのうと生きていて。20代も折り返しを数えようとしたある日。いつかの閉じた踏切、線路の上で足を悪くしたおばあちゃんが蹲っていたのを見つけた。
私は無我夢中でおばあちゃんを突き飛ばした。その後の記憶はない。