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救済せし氷の庭【鬼滅/童磨/R18】

第2章 弍 黎明


 ブラウスを脱ぎ捨て、スカートを下ろし。キャミソールをそっと脱げば、上下が下着だけの姿になった。誰に見せるでもないくせになんとなく可愛いからという理由で着用していたレース付きの白いブラジャーが露出する。

「これが未来の肌着? 変わった形状をしているんだね。すごい!」

 なんてことはない口調で、彼は自然な流れで私のショーツに触った。何の前触れもなく、突然に。綺麗な長い指が腰を降りていく。

「……ひゃっ!?」

 思わずぶわ、と顔を真っ赤にしてそちらを見る。しかし彼は変わらずにこにこと笑っているばかりで、その表情には悪意も欲望も一切見受けられない。

「あはは、可愛い! でも駄目駄目、うっかりしちゃった。真っ当に恋愛をしている男女はまず、逢瀬を重ねてから夜伽をするんだよね。俺は優しいからいきなりなんてそんな野蛮なことはしないよ!」

 ぱ、と手を離すと改めてこちらに着物を向ける。私は呆然とその着物に腕を通しながら「夜伽……?」と言葉を脳内で反芻していた。目の前の男からあまりにいやらしい気配を感じないためそういった行為に全然思考が直結していなかった。にも関わらず、こうして唐突に話題に出してくるのだ。全く読めない男である。
 そうしているうちに童磨は慣れた手つきで着付けを進めていく。帯びを閉められながら、今度は密着するほどの近すぎる距離に童磨がいることによってまた別の羞恥が出てきてしまった。とくとくと鼓動が忙しくて追いつかない。

「……童磨さまは凄いですね……」

 結局色々な感情を包括した結果その言葉しか出てこなかった。

「えー、ありがとう!」

 向けられたのは満面の笑み。作ったものだと分かっていても、さすがにこの状況ではドキッとしてしまう。彼の心臓は少しも動きすらしないのに、私ばかり早鐘を打っていて恥ずかしい。
 いったいその表情はどういう感情なんだろう……いや感情なんてないのか。などと思考しているうちにいつの間にか私の着付けは終わった。

「じゃあ、次は外へ出て逢瀬だね」

 無邪気に笑う鬼の手を取り、私は夜の街へと繰り出した。
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