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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第7章 まね妖怪との対決



ホグワーツの石造りの廊下を抜け『闇の魔術に対する防衛術』の教室に足を踏み入れた瞬間、チユの胸に小さな期待が膨らんだ。

古びた木の机が並ぶ教室は、埃っぽい空気と羊皮紙の匂いで満ちている。
窓から差し込む午後の光が、床にまだらの模様を描いていた。



先生がまだ来ていないと知ると、生徒たちはざわめきながら席につき、教科書や羽根ペンを取り出した。



チユはハリーと、ロンの隣に座り、鞄から羊皮紙を取り出しつつ、2人をちらりと見た。



「どんな授業すると思う?」

彼女の声には、好奇心と少しのワクワクが混じる。
リーマスの事だ、きっと楽しい授業に違いないと確信していた。




ハリーが肩をすくめる。
「さあ。でも、ロックハートみたいなことにはならない…はずだよ」



ロンが鼻を鳴らす。

「あのピクシー騒動を越えるのは無理だろ。あれ、忘れられないよな!」
彼の言葉に、チユはくすっと笑う。



その時、教室のドアが静かに開き、リーマスが入ってきた。
くたびれたローブと古い革の鞄は相変わらずだが、ホグワーツに来た初日よりも顔色が良く、目には穏やかな光が宿っている。



(ちゃんと寝れてるみたい……よかった。)



リーマスは机に鞄を置き、あいまいに微笑む。



「やあ、みんな」
彼の声は落ち着いていて、どこか安心させる響きがある。


「教科書は鞄に戻してくれ。今日は実地練習だ。杖だけで十分だよ」




ロンが眉を上げ、ハリーが期待の目を向けた。
彼女の目もキラリと光る
リーマスの授業で、実戦なんて――胸が高鳴った。



「ピクシーよりマシならいいけどな」

ロンがぼそっと言い、チユが笑いながら肘でつつく。
「しっかりトラウマになってるね」



「でも、ルーピン先生なら…なんか、ちゃんとしたこと教えてくれそう」
ハリーが苦笑いするとチユが得意気に胸を張った。




リーマスが全員の準備が整うのを確認し、軽く手を振る。
「よし、ついておいで」




その声に導かれるように、一同は教室を出た。

チユはハリーの後ろに並びながら、足取りを合わせる。
リーマスの後ろ姿を見ていると、不思議と安心した。

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