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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第9章 ハローウィン


「ハリーも喜びそうだろ?」


その一言に、チユの笑顔が一瞬揺らいだ。
ハリーのことが、ふっと胸の奥に蘇る。



「なぁ、チユ。」
ジョージが声を潜め、彼女の耳元で囁く。
「ハリーの分も、ちゃんと選ぼう。後でこっそり渡して、驚かせてやろうぜ」



チユの顔がぱっと明るくなった。「いいね、それ!ハリー、絶対びっくりするよね!」


彼女の笑顔に、ジョージも目を細めて頷いた。
「ああ、大喜びに違いない」



その時、店の奥からフレッドの声が響いた。



「おーい、チユ!こっちの『爆発ボンボン』ゾンコの商品とセットでハリーを吹っ飛ばすぞ!」


フレッドのからかいに、店内に明るい笑い声が広がる。
リーも手を叩いて大げさにうなずき、4人の間に軽い賑わいが生まれた。




チユは小さく笑って、肩をすくめる。
「だめだよフレッド。ハリーには優しいお菓子を選ぶんだから!」


「おっと、姫の仰せのままに」フレッドがニヤリと笑った。




ハリーとリーマスへのお土産を抱え、ハニーデュークスを後にした一行は、次なる目的地、ゾンコの店へと向かった。
石畳を踏みしめるたび、チユの足取りは自然と軽くなる。



ジョージは隣で楽しげな鼻歌を奏でながら歩き、さりげなくチユの持つお土産袋をそっと整える。
その優しい仕草が、彼女の心をくすぐる。

フレッドとリーは前を歩き、いつものようにふざけ合いながら、ホグズミードの賑やかな通りを進んでいく。


冷たい風が頬をかすめても、チユの心は不思議なほど温かい。
まるで、小さな魔法が彼女の周りをそっと包み込んでいるかのようだった。


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