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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第5章 『魔法生物飼育学』



「トレローニー先生は、君にまともなオーラがないって言ってたよな!」
ロンがハーマイオニーに反撃するように言った。



「君って、たった1つでも自分がダメに見えることが我慢できないんだ!」




その言葉は、ハーマイオニーの弱点を突いた。


彼女の顔が一瞬こわばり、次の瞬間、『数占い学』の教科書でテーブルをバーンと叩いた。
あまりの勢いに、肉やニンジンが皿から飛び散り、チユのゴブレットにカボチャジュースがはねた。




「『占い学』で優秀ってことが、お茶の葉の塊に死の予兆を読み取るふりすることなら、私、この授業といつまで付き合えるか自信がないわ! あの授業、『数占い学』に比べたら、ただの時間の無駄よ!」



ハーマイオニーは鞄を引っつかみ、つんけんとした足取りで大広間を後にした。



ロンはハーマイオニーの背中にしかめっ面を向け、ぶつぶつ呟いた。
「ったく、あいつ何言ってんだよ!まだ『数占い学』の授業、1回も受けてないくせに!」



チユは深く息をつき、2人の間を見渡した。
重たい空気が、昼食の喧騒の中で小さな孤島みたいに取り残されている。




昼食後、城の外に出られるのが、チユにとっても小さな解放だった。
雨は上がり、空は澄んだ薄鼠色に広がっていた。


しっとりとした草地を踏みしめ、チユ、ハリー、ロン、そし戻ってきたハーマイオニーは、ホグワーツの広大な敷地を横切り、『魔法生物飼育学』の最初の授業に向かった。


チユは深く息を吸い、湿った土と草の匂いを感じた。
占い学のあの煙っぽい部屋より、ずっと良い。




彼女はハリーの横を歩きながら、軽く肩をぶつけた。
「ねえ、ハリー、魔法生物ってどんなの出てくると思う?私は、アラゴグだと思う」



彼女の声は明るく、まるで太陽の光のように弾んでいた。
ハリーが苦笑いをし、ロンも少し顔を緩めた。
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