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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第4章 闇を写す茶杯




その言葉の重さに、誰もが口を閉ざした。
誰も、彼をまっすぐに見ようとしなかった。

ハリーの声には、苛立ちと不安、そして深い孤独が滲んでいた。
彼女はハリーの横顔を見つめ、そっと手を握りそうになったが、思いとどまった。



「今日の授業はここまでにいたしましょう」
トレローニー先生の声は、霧の向こうから聞こえてくるようにかすれていた。
「そう……どうぞお片づけを。……みなさまが幸運でありますよう」




生徒たちは押し黙ったまま、茶杯を返し、教科書を鞄にしまい、席を立った。
ロンでさえ、ハリーと目を合わせようとしない。


チユはハリーの隣に立ち、鞄を肩にかけながら囁いた。




「ハリー……大丈夫だよ。未来は自分で作るものだもん」



まるで自分に言い聞かせるようだった。


彼女の声は優しく、しかし力強い。
ハリーがチユを見ると、彼女の異色の瞳は燭光に輝き、まるで希望の光のように見えた。



トレローニー教授の消え入りそうな声が響いた。
「……ああ、あなた」
彼女はネビル・ロングボトムを指差し、にっこりと微笑んだ。



「次の授業には遅れてしまいますね。ですから特によくお勉強なさって、遅れを取り戻してくださいな」



そう告げると、教室の奥へと、まるで幽霊のようにスッと消えていった。



香炉の煙が揺れる薄暗い部屋に、沈黙だけが重く残った。
チユは、目の前の茶杯を片付けながら、長い金髪を耳にかけ、目を軽く細めた。


この授業、毎回こんな調子なのだろうか。



彼女は内心でため息をつき、選択した占い学の授業を、すでに後悔し始めていた。


4人はうんざりした顔を浮かべながら次の、授業である『変身術』の教室に向かった。

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