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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第2章 新学期への期待




「ああ、誇らしいよ……マムの自慢話で耳タコさ。俺たちが監督生になれなかったって、ぐちぐち言うんだよ。『お前たちも少しは真面目にやれ』って」 フレッドが眉を吊り上げ、ジョージが続ける。


「でもね、チユ、想像してごらんよ。僕たちが監督生なんかになったら――ホグワーツ中が大パニックだぜ!」



ジョージはわざとしかめっ面を作り、まるで毒を飲まされたかのように顔を歪め、両手を頭に当てて震えるふりをした。



「ルール遵守!夜更かし禁止!悪戯ゼロ!人生、真っ暗だよ!」

「そんなのまっぴらごめんさ! 俺たちは自由の翼を広げて飛ぶタイプさ!」



フレッドがジョージの肩を叩き、2人は声を揃えて大笑いした。
芝居がかった口調と完璧なタイミングに、チユはとうとう声を上げて笑ってしまった。


「あなたたち、監督生になったらきっと、ルール自体を悪戯に変えちゃうよね」



「その通り! だから、僕たち兄貴のバッジをちょっと改善してやったんだ。見てのお楽しみさ」



フレッドがローブのポケットから、誇らしげに輝くはずの監督生バッジを取り出した。
そこには『首席』とはっきり刻まれている……はずだった。


でも、魔法のインクで巧妙に書き換えられた文字は、こう読めた。


――『石頭』



「どうだい? 兄貴にぴったりだろ? パーシーのあの硬い頭、完璧に表現してるぜ!」

「石頭首席、誕生!マクゴナガル女史に見せたら、どんな顔するかな?きっと、爆発するよ」




チユは手を口に当て、こらえきれずに吹き出した。
涙目になりながら、2人の顔を交互に見つめた。



「チユが笑ってくれて嬉しいよ。夏の間、ロンからチユの話聞いてさ、早く会いたかったんだぜ」ジョージが目を細める。



チユは笑いを抑え、頰を赤らめながら言った。



「ありがとう、私も会いたかったよ。2人が居たら、ホグワーツがまた、楽しくなりそう!」



2人は満足げにうなずき、トランクを一緒に持ち上げて列車へ向かった。
汽笛の音が響く中、双子の笑いがホームに明るい余韻を残した。

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