第2章 新学期への期待
「は、初めまして!よろしくお願いします!」
ハーマイオニーが背筋をピンと伸ばし、礼儀正しく答え、ハリーも真剣な顔で「防衛術の授業、楽しみにしてます」と付け加えた。
ロンは得意げに胸を張り「僕は先に知ってたんだぜ」と肩をすくめた。
チユは一瞬ためらい、耳まで真っ赤になりながら小さな声で付け加えた。
「それから……リーマスは、わ、私のお父さん……なんだ。えへへ、びっくりした?」
言葉を口にした瞬間、胸がドキドキと鳴り響いた。
一瞬の沈黙ののち、ハーマイオニーは目を丸くし、ハリーは「そうなんだ!」と驚きながらも微笑んだ。
ロンは得意げに胸を張って「僕はもう知ってるぞ」と言い、チユは恥ずかしさを隠すように笑った。
気まずさを和らげようと、チユは話題を変える。
「そうだ、昨日は『漏れ鍋』に泊まったんでしょ?どうだった?」
「にぎやかだったわよ!」 ハーマイオニーが目を輝かせ、興奮気味に語り出す。
「夕食のあと、ウィーズリー一家がみんなで大笑いしてて――お母さんが作ったパイが最高で!」
「フレッドとジョージがずっとふざけてさ!爆笑の呪文でもかけてるみたいだったよ」とロンが加え、ジェスチャーを交えて真似をた。
「ふふ……いいなぁ、楽しそう」
チユは温かい気持ちで笑った。
ふと横を見ると、リーマスは少し離れたところでアーサーおじさんと真剣な顔で話し込んでいた。
声は届かないが、2人の表情から、ただの世間話ではないことが一目でわかる。
仕事の話か、それとも……シリウス・ブラックの脱走の噂か――。
チユの胸に小さなざわめきがよぎった。
「……なんか、深刻そう。」
ロンが肩をすくめ、声を潜めて言った。
「父さんのあの顔は、仕事の話に決まってるさ。魔法省のゴタゴタ、きっとそれだよ。まあ、僕らには関係ないけどな。」