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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第1章 夏の知らせ



「……どうやら決まったようですね。ドラゴンの心臓の琴線を芯に持つ、脆いレッドオークの杖。とても素直で、しかし持ち主の心の揺れに敏感だ……君の強い意志と、優しい心にぴったりだよ。」



チユは杖を胸に抱きしめ、目を閉じた。杖の温もりが、まるで古い友のように彼女を受け入れてくれる。



「すごい……あったかい。まるで、私のことをずっと待っててくれたみたい。」 彼女の声は震え、喜びと安堵が混じっていた。


リーマスがそっと微笑み、彼女の肩に手を置いた。
「それが君の新しい杖だ。きっと、君と共に素晴らしい魔法を紡いでいくよ」


チユは目を潤ませ、リーマスを見上げた。


「ありがとう、リーマス」


彼女の笑顔は、孤児院で過ごした孤独な日々を知る者には信じられないほど明るく、誇りと希望に満ちていた。

新しい杖を握る手は、ホグワーツでの新たな冒険への決意を確かに示していた。


店を出ると、ダイアゴン横丁の夕暮れが2人を包んだ。
オレンジ色の空の下、チユは杖をそっと見つめ、未来への小さな一歩を踏み出した。
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