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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第8章 ホグズミードの知らせ



「ビンキーって……年寄りウサギだったの?」


「ち、違う!まだ赤ちゃんだったの!」
ラベンダーがしゃくりあげると、パーバティが彼女の肩を強く抱きしめた。


その様子を見ながら、チユは心の奥がチクリと痛んだ。



「じゃあ、どうして死ぬことなんか心配するの?」
ハーマイオニーが静かに尋ねた。



ラベンダーの肩を抱いていたパーバティが、きっとハーマイオニーをにらみつける。



「ねぇ、論理的に考えてよ」
ハーマイオニーは、集まった生徒たちを見回しながら言葉を続けた。


「つまり――ビンキーは“今日”死んだわけじゃない。ラベンダーは“その知らせ”を今日受け取っただけよ」



ラベンダーの泣き声がひときわ大きくなった。
チユは思わず顔をしかめ、胸の奥に小さな痛みを覚えた。



「それに、ラベンダーがそのことをずっと恐れていたはずがないわ。だって、いま突然知ってショックを受けてるんだもの」


「ラベンダー、ハーマイオニーの言うことなんか気にするな!」
ロンが怒鳴った。
「人のペットのことなんて、どうでもいいやつなんだから!」


その瞬間、チユの胸の奥がピクリと震えた。
「ロン!」
小さな声が思わず漏れた。だがロンは振り向かない。


ちょうどそのとき――
教室の扉が勢いよく開き、マクゴナガル先生が入ってきた。



まさに絶妙なタイミングだった。
先生が一歩踏み入れると、ロンとハーマイオニーはぴたりと口を閉じ、
ただ互いをにらみ合った。


授業が始まっても、2人はまるで冷たい空気の壁を作るように、一言も交わさなかった。



チユはノートを取りながら、ちらりと2人を見た。
(あぁ、もう……。昨日の猫の件からずっと引きずってる)

ペン先がかすかに震えた。
(なんとか、元に戻してあげたいのに)



やがて、変身術の授業が終わりの鐘を告げた。
みんなが教室を出ようとしたとき、マクゴナガル先生が声を上げた。



「ちょっとお待ちなさい!皆さん、全員私の寮の生徒ですね。ホグズミード行きの許可証をハロウィーンまでに私に提出してください。許可証がなければ、ホグズミードには行けません。忘れずに出すこと!」
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