第8章 ホグズミードの知らせ
その時、ロンが大げさにペンを振り上げ、星座図の最後の星に「どうだ!」と言わんばかりに名前を書き殴った。
「よーし、完成! ハリー、僕のを写していいぜ!」
ロンは得意げに羊皮紙をハリーの方に押しやり、ニヤリと笑った。
ハーマイオニーはその様子をじっと見つめ、唇をきゅっと結んだ。
彼女の眉がピクリと動き、明らかに「丸写しなんて!」と言いたげだったが、言葉を飲み込んだ。
代わりに、彼女の膝に寝そべるクルックシャンクスが、ぼさぼさのオレンジ色の尻尾をフリフリと揺らし、ロンを見つめていた。
「クルックシャンクス、めっちゃロンにロックオンしてるよ」
チユがくすくす笑いながら言うと、ロンがハッと振り返る。
「なんだよ、その目は! やめろって、スキャバーズがビビるだろ!」
その瞬間、クルックシャンクスが突然跳び上がった。
「うおっ!」
ロンが叫びながら、慌てて鞄を引っつかむ。
だが、クルックシャンクスは四本の足の爪をロンの鞄にガッシリと食い込ませ、まるで戦利品を奪う獣のように激しく引っかき始めた。
「放せ、この毛玉野郎!」
ロンはクルックシャンクスから鞄を引き剥がそうと格闘したが、猫はシャーッシャーッと唸り、鋭い爪で鞄の布をビリビリと裂いていく。
談話室の生徒たちが一斉に振り返り、クスクスと笑いながら見物し始めた。
「ロン、乱暴にしないで!」
ハーマイオニーが悲鳴を上げ、立ち上がって仲裁に入ろうとする。
だが、ロンは鞄を振り回し、クルックシャンクスはまるでロデオの牛のようにしがみついたまま離れない。
「乱暴って、こいつが乱暴なんだよ! スキャバーズが…!」
ロンの叫びが途中で途切れた瞬間、鞄の底が破れ、スキャバーズがポーンと飛び出した。小さなネズミはパニックで床を滑り、暖炉の近くに転がっていく。
「スキャバーズ!」
ロンが叫び、床に飛びつくようにして猫を追いかける。
「もう、ロンったら…クルックシャンクスに完全に舐められてる……」
チユは呆れたようにため息をつく。