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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第8章 ホグズミードの知らせ



「ついに……みんなが楽しみにしてたホグズミードだね」

「“みんなが”ね」


ロンの声に、チユはハッとして振り向く。
ロンがハリーをちらりと見たのだ。
ハリーはうつむいたまま、指でテーブルをとんとんと叩いていた。


夕方、クィディッチの練習を終えたグリフィンドールのチームが、冷たい風と笑い声をまとって談話室に飛び込んできた。

頬を赤くしたハリーとロン、そして例によって騒がしいフレッドとジョージが、肖像画の穴をくぐって現れる。



「やったぜ!」
フレッドが勢いよく両手を広げ、談話室中に響く声で叫んだ。



「ゾンコの店が俺を呼んでる!『臭い玉』の在庫が底をついたんだ!」

「それと、ついでに『噛みつきフリスビー』もな!」


ジョージが笑いながら付け加え、フレッドとハイタッチを交わす。



チユがクスクス笑いながら手を振った。
「フレッド、ジョージ、また何か企んでるの?この前もフィルチの席に『鼻食い付きティーカップ』を置いてたよね」



フレッドが大げさに胸を張り、ジョージがニヤニヤしながら肩を叩く。


「チユ、いい質問だ! だがな、今回はもっとデカいことを計画中だ!」
「そうそう、ホグズミードの全店を俺たちの伝説で埋め尽くすぜ!」


2人が声を揃えて笑うと、談話室の空気が一瞬で明るくなった。





暖炉の奥で火の粉がパチパチと弾け、外の風が窓をカタカタと揺らす。
ハリーは椅子にどさりと座り、少し俯いたままだった。
フレッドとジョージが顔を見合わせ、チユがハリーの隣にそっと腰を下ろす。



「……やっぱり、行けないのか?」
ジョージが少し声を落として尋ねる。



「うん。許可証がないから」
ハリーが短く答えると、談話室に一瞬の静けさが流れた。



ハーマイオニーが、少し悲しそうに微笑んだ。
「この次にはきっと行けるわ。ブラックはすぐ捕まるはずよ」



「そうだ、マクゴナガルにお願いしてみろよ!」ロンが勢いよく言う。
「ハリー、次なんて永遠に来ないかも!」



「ロン!」ハーマイオニーがたしなめたが、ロンは口を尖らせる。
「だってさ、3年生でハリーだけ置いてくなんて、そっちの方が変だろ!」


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