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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第8章 ホグズミードの知らせ



ホグワーツの石壁に囲まれた教室は、いつもなら生徒たちのざわめきで騒がしいが、リーマスの『闇の魔術に対する防衛術』の授業は別格だった。

たちまち、この授業はほとんど全生徒のお気に入りになり、グリフィンドールの談話室からスリザリンの地下室まで、その話題で持ちきりだった。



古びた黒板に映るリーマスの穏やかな笑顔と、彼の知性とユーモアが、生徒たちの心をがっちり掴んでいた。

あの、フレッドとジョージでさえも、この楽しい授業には大絶賛だった。
彼らの悪戯好きの心を掴むなんて、並大抵のことではない。



ただし、例外もいた。ドラコ・マルフォイとその取り巻きのスリザリン生たちだ。

リーマスが廊下を通り過ぎると、マルフォイはわざと聞こえるようにヒソヒソと囁いた。



「あのローブの惨めなこと!うちの屋敷しもべ妖精だって、もっとマシな服を着ているぞ」



だが、そんな意地悪な言葉も、リーマスの輝きを曇らせることはできなかった。
彼のローブが継ぎはぎだろうと、ボロボロだろうと、ほとんどの生徒には関係なかった。
いや、むしろその飾らない姿が、彼の授業の魅力に深みを加えていた。



チユは教室の片隅で、杖を手にしながら目を輝かせていた。



「ルーピン先生の授業、ほんとすごいよね!」


彼女は隣に座るロンに囁いた。ロンはニヤリと笑い、頷いた。



「ああ、間違いなく今までで1番だ!スネイプの魔法薬なんか、毎回拷問だよ!」



ハーマイオニーが眉を上げ、軽くロンを睨んだ。


「ロン、声が大きいわよ。でも……確かに、ルーピン先生の授業は特別よね。理論と実践のバランスが完璧だわ」
彼女の声には、いつもの真面目さと、ほのかな興奮が混ざっていた。



2回目の授業では、ボガートの次に『赤帽鬼』を扱った。
血の匂いが漂う場所に潜む、性悪な小鬼に似た生き物だ。

城の地下牢や戦場跡の深い穴に隠れ、迷い込んだ者を待ち伏せて棍棒で襲う。ルーピン先生は、赤帽鬼の弱点をユーモアたっぷりに解説し、実際に教室に召喚された赤帽鬼を、軽やかな呪文で滑稽なピエロの姿に変えてみせた。

教室は笑い声に包まれ、チユは思わず手を叩いた。

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