第3章 優しさに触れ【沖田総悟】
私がお礼を言うのを遮るように別の真選組の人がこちらに向かって走ってきた。
あの人、知ってる……
真選組鬼の副長、土方十四郎さん……
「てめぇ!急に居なくなったと思ったら女と遊びやがって!しょっぴくぞ!」
「嫌だなぁ仕事でさァ仕事」
「嘘つくんじゃねぇ!!!」
「っあ、あの、ちがうんです、わたしが引き止めちゃって」
怒られてしまうかと思ったが、思わず口を挟んでしまう。
2人の視線が私に突き刺さる。
「あ?どういうことだ」
「その、お忙しいのは知っていたんですが……猫ちゃんを放っておけなくて。その時に沖田さんに声かけられて、わたしがご飯買いに行っているあいだ見ててもらったんです」
お仕事のお邪魔してごめんなさい、と頭を下げると、沖田さんが仕事をサボっていたという事実はなかった、という事に気づき、「そうか」と土方さんは落ち着いた様子だった。
「だが...その猫、どうするつもりだ?保護したなら連れて帰らないといけねぇぞ」
「っ、」
その先のことを考えておらず、口ごもってしまう。
その様子を見た土方さんは溜息をつき
「あのなぁ、確かにエサをあげたことで今この猫は助かったかもしれねぇがまたこいつを放っておいたら今後カラスに食われるかもしれねぇんだぞ。責任持てねぇなら手ぇだすな」